金利が上がると株が下がると言われています。

たしかに、市中の調達金利が上昇すると、お金が回りにくくなり、株価も下がると言うのが一般的で簡単な理解のようです。
しかしながら、株はインフレーションに強いアセットであり、インフレ=金利上昇と捉えると長期的には上昇しそうな気がするのではないでしょうか。
インフレになれば、当然のことながら、物価が上昇し、それに伴い賃金も上昇、最後に会社の価値は変わらずとも貨幣価値が下がることで、株価は上昇するはずです。

短期的には下がって、長期的に上がる?というのは何だか矛盾しているように聞こえます。

私の理解は長期的には景気が一番であり、金利上昇=株価は下向きと考えています。

その理由を自分なりの理解で示してゆきます。
間違っている!と思った方は是非コメント欄にどうぞ。

企業価値から考える

企業価値算定をする際、DCF法が最もこの世で使われている算定方式だと思っています。
その算定される企業価値が時価総額と正の相関が強いという前提の元、話をすすめてゆきます。

企業価値を求めるDCF法では割引資本コスト(WACC)と言われる株主が期待する収益率とその会社が期待される成長率g、およびその会社が生み出すフリーキャッシュフローFCFを使用して企業価値を計算します。

企業価値=FCF/(WACC-g)

式を見ればわかるようにgが上がれば企業価値は上昇し、WACCが上昇すると企業価値は下降します。
投資家の期待値が高ければ高いほど企業価値が下がるのは、それに反してリスクを取っていると判断するからであります。一般的にはWACCは以下の算式で表されます。

WACC=D/D+E × rD × (1-T) + E/D+E × rE

ここで、
D:負債総額
E:株式の時価総額(=株価×発行済み株式数)
rE : 株主資本コスト (一般的に15%)
rD : 負債コスト (一般的に5%)

更に、このrEを見ると

rE=Rf+β☓Rp

Rf : リスクフリー・レート(≒国債金利)
β : ベータ
Rp : リスクフリー・レート

となってます。

何が言いたいかというと、金利が上がれば、銀行金利が上昇することで負債コスト(rD)も上昇し、株主資本コスト(rE)もリスクフリーレート(≒国債金利)が上昇することにより上昇することとなります。

すなわち、WACCは金利上昇とともに上昇するので企業価値は低下するという仕組みとなります。

という事で、中央銀行から金利を上げる!と宣言された時は短期的に株価は下がると理解した方がよさそうなのは理論的に理解できたかと思います。
金利は最重要指標でもありますので、NY株価と共にチェックされることを強く推奨します。