7月9日にコロワイドより大戸屋HDのTOB実施の適時開示がありました。9月1日に決済日ということで、最終的にはTOBが成り立ちましたが、その時系列的考察をしたいと思います。

まず、買い付け状況について、適時開示を見てみましょう。

ここによると、元々、コロワイドは19.16%の株式を持っていたことに加え、今回51.32%を目指して公開買い付けを実施することになっています。買い付けるのは51.32‐19.16=32.16%。では、この32.16%を買い付けに対し、我々個人投資家は証券会社を通して応募すればよいわけですが、簡単に応募に通る可能性を計算しましょう。

安定株主を除いた、市場で売買されそうな株である浮動株は72,27%ということがわかります。すなわち、72%のうち32%を買い付けるわけですので、応募に通る確率は40%以上もあることがわかります。更には、個人投資家のレベルを考慮すると、TOBの応募方法を知っている人自体が少ないことから、ほぼ確実に当確するものと思われます。

では、このTOBが発表されてからの株価推移と買い付け価格を見てみましょう。

買い付け価格は3081円/株です。

TOB発表からTOB締切までの価格推移

7月9日には公開買い付け価格にいったんは張り付くわけですが、そこから決済日の9月1日まではそれを下回る水準で推移していました。すなわち、その間に株を購入し、TOBに応募していれば十分に利益が取れた状況にあります。おおむね2800円で推移していたため、差額は250円以上の利益がありました。1か月以内に約10%のリターンが得られると考えると脅威的です。

株を購入し、応募したあと、決済日までは不安ですが、空振りはありません。応募を超えた場合は按分方式で買い付けるとなっているため、必ず一部は買ってもらえるということになります。ただし、TOB成立後は元の価格水準に戻ると仮定すると、損失がでることになりますので、リスクはあったということです。

このように、TOBの際に数字的な整理をして、静観していたとしても、小型株ではチャンスは巡ってくるということは覚えておきましょう。