今日はサクッと論文紹介。

金融の世界ではモメンタムとリバーサルの二つの性質がアノマリーとして定義付けられています。

一般的には短期的にはリバーサル、長期的にはモメンタムのイメージが強いかと思います。

今回紹介するのはSSRNでも読めるMebane T.Fabe 2010 Relative Strength Strategies for Investingに記載のあるレラティブストレングスについてです。

レラティブストレングスとは文字通り、相対的な強さということで、元々力強い株価はその後も力強いというもので、上記引用論文では以下の条件でバックテストしております。

①アメリカ株を10個のセクターに分類。

②1か月、12か月等、リターン区間を測定する長さを決めて、その区間リターンで各セクターを順位付け。その順位ごとに次の1か月リターンを計測。

③1か月後の月末にその特定区間のリターンを確認して、再ランキングを実施し各順番を入れ替え。リターンは月末の終値で買値として計算。

つまり、1位を狙うのであれば、月末に所定の区間リターンを計測して一番区間リターンが高かったセクターを1か月ホールドすることにする、という事です。

バックテストしたのは1928年から2009年。結果の抜粋は以下です。

1か月リータンで順位付けした各順位の平均リターン

12か月リータンで順位付けした各順位の平均リターン

※CAGRが年間平均リターン。STDEVが変動率・リスク。SHERPEはシャープレシオ

ここでわかるのは1か月のレラティブストレングスよりも12か月のレラティブストレングスの方が遥かに説明力が高く、12か月間のレラティブストレングスであるとTOP1・TOP2のリターンはTOP9に比べて5%ほど高い事がわかります。

冒頭にも書いた通り、短期ではリバーサルの成分もあると推定され、1か月のレラティブストレングスは他のより長期のレラティブストレングスと比較して弱い結果となりました。

上記の結果は産業の構造を端的に表しているという表現もできるのではないかと思う結果です。成長分野のリターンが高い事を指示している可能性もあります。

このレラティブストレングスが良いところは市場平均を簡単に打ち破る事ができるのが特徴で、長期にわたって安定性がこの論文で示されております。

是非とも、この視点で期間を変更する等を行い、自分の好きなユニバース設定でバックテストをしてみてはいかがでしょうか。Numerai signalsにも使えるかもしれません。