その昔、私は夕凪さんの本「スタバ株は1月に買え!: 10万円で始めるイベント投資入門」を買って配当アノマリーを知り、なんとかシステム化してトレードしてみたい!と思っておりました。しかし、データを色々加工するのが面倒で他の戦略に逃げておりました。

そこから年月は過ぎ、JPXデータクラウドからデータを買うようになり、そしてPythonでデータ処理を覚えることで、今までのVBA等の処理とは異なり、かなり自由度の高い分析が出来る様になってきました。

今回は私がふと思いついた戦略について、発想の経緯、バックテスト実行、トレードへ移行する姿を記して行きます。

配当アノマリーとは何ぞや?

配当アノマリーは非常に有名なのですが、知らない人のために以下を掲載しておきます。

https://gendai.media/articles/-/59911 から引用

高配当、高優待銘柄に見られる現象で、配当権利確定日の1ヶ月まえから、株価が相対的に強い傾向にある現象を配当アノマリーと言います。上記のグラフだと、配当権利落ちするとその後1ヶ月の株価は不調なようです。

これなら、配当を黙ってもらうよりも、配当権利日1ヶ月前から購入し、権利日直前で売り権利日通過後に空売りする事が理想の様に見受けられます。

ただし、全体相場は読めない事から単純に上のような行動は不安定な手法かと思われます。

俺はαが欲しいんや!

株価の動きは超ざっくり言うと個別銘柄の動き:αと、全体相場の動き:βに分かれます。

株価の動き = 個別銘柄特有の動き:α + 全体相場の動き:β

この数式の中で全体相場の動き:βは特に予想しにくいと言われていますし、私もそう思います。
βを何かで空売りなどして控除することで予測力が遥かに増して行きます。

で、配当アノマリーと言われる物は個別銘柄特有の動き:αに属し、βを控除した上でシステム化しようとすると、かなり面倒です。個別銘柄の配当以外に優待まで調べて銘柄をピックアップする必要があり、非常に手間取ってしまいます。しかもβを控除すべく、ペアを組もうと思っても無配の銘柄なんて沢山あるし、結局はTopix やN225のベアETFがペアの相手として思いつくのですが、それも妙案とは思えません。何せベアETFは中長期でのホールドには向かないのですから。んじゃ先物!となりそうですが、税制面で異なるので損益を合算できないので却下されるわけです。

常にトレードしたいんや!

資金効率の面でも配当アノマリーだけを狙っていると良くはありません。通常の個別銘柄は3月に配当権利日確定日が集中するので、一年の2ヶ月ぐらいしかチャンスは巡ってきません。私のようなトレード中毒の方のニーズにはお応えできないと言えます。彼らから資金効率は重要で、常にトレードしたいんや!と言う声が聞こえる気がします。

Reitは如何に?

何か良い方法はないのだろうか、、、と考えていると、ふと思いつきました。

Reitってどうなんだろう?

Reitは高配当で且つ年二回の配当が行われます。また、配当月は銘柄によって様々で、確か銘柄を分散することで毎月配当が受け取れるポートフォリオを作れたはず。と言うことは株と異なり配当アノマリーのチャンスは毎月巡ってくるはず。

と言う訳で、Reitの配当月を調べると以下の様になっていました。

本当に月ごとにばらついてくれています。

ここで、一つのルールベースの戦略が勝手に脳内から湧いてきます。

・毎月配当権利日落ち日の寄付きで次の月の高配当の上位2位までの銘柄を信用で買い建て、権利落ち直後の高配当の上位2位までの銘柄を信用で売り建て。

・毎月配当権利日の当日の引けで上記のポジションを手仕舞い。

値上がりしそうな銘柄を買って値下がりしそうな銘柄を空売りするわけです。

これであればβも控除できて、αをダブルで捕れるじゃないか!と興奮した記憶があります。

バックテスト結果

実は今回、J Quants APIを使ってバックテストをしたかったのですが、本日に至るまで、本業が忙しくコードを書けませんでした。ただしある程度調べており、業種にはReitはちゃんと分類されていて、配当利回りのデータもあるので、あとは気合と時間の問題でした。

ともあれ、本記事では私のPCに残っていた過去のバックテストの結果をシェア致します。
この結果は結構苦労して出したのですが、今やJ Quants APIを使えば2時間程度でできると思います。

結果はどうかというと、2年でリターン70%超!。しかもグラフは安定的。
これはすぐにトレードせねば機会損失である!と当時の私は感じていました。

いざ手動でトレード!

当時、たった4銘柄の注文なので、手動でええやろと思い、予定していた日に注文しようとすると、ふと気づきました。

出来高すくねぇ。これはヤバい。

どうもReitの高配当銘柄というのは不人気であり、取引が少ないのです。
寄付きの売買高で2千万円を下回っていたことを記憶しています。
ここで、百万円でも建てるとマーケットインパクト起こすことは間違いなく、
数日間ウキウキしていた私はかなり意気消沈してしまいました。

そこから2年、このバックテスト結果は私のPCで眠っていました。

まとめ

成功体験を共有できませんでしたが、今回の記事で示したいことは以下の通りです。

・ルールベースでも安定的なシステムは構築できる。

・J Quants APIが使えると仮説を検証する効率は遥かに高い。

・Reitでも配当アノマリーはある(サブで言いたいこと)

個人的には機械学習等をせずとも収益の機会はあると思っており、是非とも皆さんにはJ Quants APIを使って独自性のある戦略を探求していってほしいと思っております。
今回書いた通り、非常に有名なアノマリーでも少しの変化球で収益の機会が見つかる可能性は高いと考えます。

システムトレードは努力で儲かります。

おまけ

下はReitの配当利回りとその後2年間のキャピタルゲインでのリターン、そして配当を含めたトータルリターンを示したものです。
Reitの配当利回りで5分類し、その平均を調べています。
Reitは配当利回りが良くてもキャピタルゲインは反比例することが示されているので、これもアノマリーかもしれませんね。

投稿者

SHIN

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