FXでは儲からない、というと言いすぎかもしれませんが、儲かる可能性は低いです。
これは断言できます。
何故かというと投資には儲かる原則がいくつかありますが、それを満たしていません。
順番に追って説明してゆきましょう。

①完全なるゼロサムゲームである

通貨の取引はグローバルを包む巨大なゼロサムゲームであり、期待収益率は0です。
しかも、取引業者のスプレッド(手数料)を含めるとマイナスサムゲームとなります。
つまりは取引すればするほど、大数の法則から損益はスプレッド分に収斂してゆきます。
たまに、儲かっている人は特別な方法を使っているはず、と言われると思いますが、下の図で簡単に説明できます。

簡単です。FXに参加している人の損益の分布をみると、必ずバラつきが発生し、大きく儲かる人がわずかに現れます。
本や出したりセミナーを開く人はこのようなバラつきに運よく入った人であるとかなりの可能性で断言できます。中には群ぬいたプロフェッショナルもいるかもしれませんが、表には出てこないでしょう。本当のプロフェショナルは自分の方法、手の内を明かしたりはしません。彼らが明かすのは陳腐化した情報が多いと感じています。

②取引量が多く、歪みが少ない

為替は非常に取引が多く、価格水準自体が市場が求める実態に近くなりやすいのです。株式は時に地味な株は見逃され、大物投資家やTOBをかけられ、その会社価値が見直され急激に上昇することはありますが、為替はまったくありません。ですので、歪みをうまく見つけ、そこに賭けるということは不可能なのです。

③スピード感が非常に高い。先回りはほぼ不可能。

値動きも急峻です。株であれば、大きな売買主体は徐々に買い・売りを入れて価格にインパクトを起こさぬようにしてアクションを起こしますが、為替はスピード命です。そのためFRBの動向等を一瞬で察知して急峻な動きをみせたりします。そしてある程度の値になると落ち着くのです。あなたが、アメリカの情報をナノ秒で手に入れ、ナノ秒で判断するクラウドコンピューターを持ち、その発注をナノ秒で取引所に送れるのであれば、優位かもしれません。貴方専用の海底ケーブルや、衛星があれば話は違うとは思いますが。

④政策面・金利動向で動くが、短期には動きはランダム

たしかに為替は政策面・金利動向で動きますが、その政策・金利に関しても、その情報を受けてどれだけ動くかは全体の動きから決まるので、特に短期的な動きはランダム運動に近いのです。ランダム運動ではいくらチャートを凝視しても先は予測できません。

⑤テクニカル分析は百害あって一利なしである。

テクニカル信者には失礼ですが、言い切らせてもらいます。テクニカル分析は単独分析では役に立ちません。あらゆる論文がそれを証明してくれています。チャートを見て、上がりそうだ・下がりそうだというのは、水晶玉を見ていてもトレードの成果には大差はないはずです。

最後に儲かる可能性が存在するのは否定しません。上に示したように必ず、損益にはバラつきが発生し、誰かは勝つのです。ただそれは単なる運である可能性が高く、論理的バックボーンがありません。再現性が無いということです。
FXだけが選択肢ではないです。株のように経済成長を続け、配当を出す仕組みの証券を買うこと自体はプラスサムゲームであり期待収益はプラスなのです。
実力以外の確率という部分においては必ず、優位な状況を作りだすのが勝利の近道だと思います。