その昔、NY逆張り戦略というものがありました。
どういうものかというと、NYダウが上昇していれば、その日の朝の寄付きで日経を売り、引けで買いもどすというものです。
NYが下がっていれば、朝の寄付きで買って、引けで売ります。

10年ほど前はこの戦略は有効で、かなりのリータンを上げていたのを覚えてました。
でも各書籍やブログで紹介されてからは有効性を失ってしまっていました。

では、今のコロナ禍においてはどうだったのでしょう?
なぜ調べようかと考えたのは、下落相場や、高ボラティリティの状況下ではあらゆるアセットが教科書通りに動くことが多く、各種アノマリーも復活しやすく、
NYの逆張りアノマリーが復活しているのでは?と感じたからです。

調査した期間は今から2年ほど遡った2018年8月から2020年9月です。
米国長期債・原油・NYダウ・S&P500の前日比と日経225ETFの当日のリターンです。
言い換えると朝に確認できる米国金融指標と、その当日の日本株の動きです。

まずは決定係数です。
株式の予測の世界では決定係数が0.01以上あればトレードとして成り立つ可能性のあることになります。ちなみに0.05を超えようとするとインサイダー情報じゃないと無理といわれています。

まじか(汗)!、日経225とあらゆる指標が0.01以上の決定係数を持っているではないですか。
これは相関図を見ないとおられない事態となりました。


おおお、NYダウが前日比と日経の当日の動きは逆に出るというアノマリー通りの結果が得られています。また、NYダウが上がれば同時に米国長期債は下がるので、米国長期債は日経の当日の動きに対して正の相関となります。それもその通り。
意外なのは原油もある程度の決定係数があったことです。
おそらくはコロナ禍でNYダウの動きと連動しているから、決定係数があがったのでは?と思う次第です。

最後に決定係数が強烈に高い状況下、トレードしていればどうだったのでしょう?
ルールはNYが朝のニュースで上がっていれば、
当日の朝に日経225ETFを成行売り、引けで買い戻し、
そしてNYが朝のニュースで下がっていれば、その逆を行います。
結果は以下です。

おおおおお!、二年間で+50%に近い利回りではないですか!
しかし、プラスのリターンを上げているのは500回のトレード期間で0回から120回あたりまでと、360回から400回当たりの間だけです。
その他の間はひたすらに我慢を重ねて発注という状況なので、このままでは使えないかなー、という感じでしょうか。
ただ、日経平均は先物で10倍レバレッジまで組んで取引できるので、このリターンであれば、有り金を全て突っ込むトレーダーもいてもおかしくはないですね。

これを見て、相関関係の強い期間について、もっと調査をして、レジームスイッチでトレードを行っている人もいるかもしれませんね。
VIXのトレンドができた時、等。

これを題材にして論文を書くのも面白いかもしれません。