マルチファクターモデルとは、株価の上げ下げを予測モデルとしては非常に優秀です。
マルチファクターモデルはあまり個人投資の間ではメジャーではなく、
周りを見た限りではトレンドフォロー戦略や逆張り戦略などがメジャーなようです。
トレンドフォローとはテクニカル分析のようなイメージがありますが、
純粋に簡単な方法でトレンド判定を行って、トレンドに乗ってゆく方法です。
1980年代までは非常に有効でした。
下に簡単に数式を載せますが、この数式でトレンド判定を行うのが基本です。
n日間(時間・分)の期間リターン/√n > n日間(時間・分)の平均リターン
これは期待リターンとは時間のrootに比例して増えてゆく、収斂してゆく、と考えれらるため、
普通両辺はイコールなのですが、それがトレンドが強いと左辺が大きくなってゆくのです。
また、ほかにもトレンド判定はありますが、これが基本となります。
今でも、勝っているデイトレーダーはトレンドフォローが主体だと思います。
ただし、トレンドフォローは勝率が悪く、続けることに精神力を必要とします。
更には理論的バックグランドが乏しく、為替なども金利の影響が大きいはずで、闇雲にトレンドフォローだけでは勝てないと思います。
ここで登場するのが、マルチファクターモデルです。
マルチファクターモデルとはAI・機械学習でも使われる線形回帰モデルですが、株価の予測にアカデミックには使われることが多いです。
一部ではこの先を行って、非線形回帰モデルであるニューラルネットワークを使うことも研究されていますが、個人的な意見としては最適化が進みすぎて、使い物にならないです。
シンプルに強力なファクターを探し出し、線形回帰モデルに従って、トレードするのが正解と思います。
内容としては簡単です。
予測したいデータを重回帰分析を使って、自分が調べた有効であると思うファクターを分析すれば、それらの係数も出てきます。
先日書いた記事を使って説明しましょう。
先日の記事に書いた通り、日経平均の日中の動きはNYの動きと逆相関していました。
また、原油や米国長期債からも影響を受けていることも説明した通りです。
先日の記事では単にNYダウの上げ下げをファクターとして投資モデルで収益を記載しましたが、
今回は以下の数式が正であれば、当日の朝寄付きで売り、夕方の引けで買い戻し、
負であれば、当日の朝寄付きで買い、夕方の引けで売りとして、毎日トレードを続けた結果をしめします。
使っているファクターは下の通り、米国長期債・原油・NYダウです。
米国長期債・前日リターンx-0.1+原油前日リターンx0.75+NYダウ・前日リターンx0.15
NYダウだけのシングルファクターの投資方法に比べ、数パーセント改善してます。
ただし、今回使ったファクターは相互に影響を与え合っているファクターですので、本来ならば、為替・金などを使ったほうが良いかもしれません。
これを参考に重回帰分析を勉強して、決算指標などで四半期の動きなどを予測しても面白いかもしれません。
最後にコメントしておくと、ファクターの選び方は理論的ストーリーを入れて探した方が早いかもしれませんが、意外な物を使ったほうが競争力はあると思います。
ただし、太陽の黒点の活動量と株価に関連性があるというような偶然の一致もあるかもしれませんので、ある程度はストーリーはいると思います。
ちなみにバングラディッシュの年間バター消費量・アメリカのチーズ消費量・バングラディッシュの羊の頭数データでマルチファクターモデルを作ると、アメリカの株式の利回りを99パーセントの精度で予測できたそうです。。。